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平野耕太に悪影響を受けたオタの人が電波話や悪魔トークを繰り広げて萌える人外魔境だよ。 大屋津媛様ハァハァ。
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エピローグ
学園参加の方は終わりましたがこっちの方はもうちょっとだけ続くんじゃ。
以後気が向いた時に色々な妄想や公開しきれなかった裏設定を投下します。
PL視点からの情報が主になりますがよろしければお付き合いください。
今回はいつの間にかいなくなった進藤君のオチについて。
――歌声がする。いや、鳥の鳴き声だろうか。重い目蓋を開くと、そこには緑溢れる草原と小高い丘が広がっていた。立ち上がって見下ろすと、眼下に青く流れる川が見える。……おかしい。僕はしっかりとベッドで横になったはずだが。そもそも普段通り8時間寝たと仮定すると太陽が中天にあるのもおかしい。
 考えられる事。1・12時間ぐらい寝た。2・拉致された。3・夢の途中。
 1は考えられない。新宿区内でこんな光景を見た事はないから。ついでに言うとお腹も空いてない。2も考えにくい。学園の魔術的防護を掻い潜って僕を拉致するのは限りなく不可能に近いし、かといって内部の人間がリスクを負ってまでそんな事をする理由も考え付かない。となると3が一番可能性が高いか。おそらく明晰夢を用いた精神攻撃の類。これならば集合無意識を経由すれば結界の網に掛からずに僕に干渉することも可能だろう。その割りには夢とは思えないリアリティだけど。頬を抓ってみても痛むだけで目が覚めないとは。鳥の鳴き声もまるでこれが現実であるかのように耳に響く。何処から聞こえるのか右手の指輪に意識を集中させた。
 ……能力の発動音がしない。結界が展開する様子もない。やはり夢か。これが夢なら、自らの精神の在り処をしっかりと認識させておけば、余程の事がない限りは夢に囚われずに自力で目を覚ますこともできる。中天に浮かぶ太陽。あれが径路だ。天に浮かぶ白い穴を抜けて糸を手繰っていった先、ベッドに眠っている僕自身をイメージする。何かあればこれを手繰って上に意識を返す。その準備さえできていれば誘いに乗ってみるのもいいだろう。誰が、何のためにこんなことをしているのか、興味がないわけじゃないし。
 鳥の鳴き声に誘われるように丘の上へと進んでいくと、いつの間にか、それが歌声になっていた。七色に輝きながら輪舞する光の群れ。妖精の輪という奴だろうか。余り近寄りすぎるのは拙いかも知れない。そう思った時、脳裏に声が響いた。
《使命を忘れて人に近づき過ぎたようだな、息子よ》
太く、重々しい声。何処となく温かみを感じさせるその声は、少なくとも酒に溺れて僕を罵っていた父親のものではなかった。
《この局面にどう向き合うかで世界のバランスは大きく変わる。それを人の目から観察する。それだけの事ではなかったのか?》
「つまり僕に観察者としての役割を科していた、と?」
思考を口にするのは、自分の考えをまとめると共に、自分の存在を強固にする為だ。
《人の情は操作するものであって飲み込まれるものではない。そう言ったのはお前ではなかったのか?》
「僕が全てを忘れている。そう言いたいんだな」
勿論声の主が偽りを言っているわけではなければ、だ。
《それだけではない。やはり繰り返すのだな。人も、我らも……だが、それを受け入れるわけにはいくまい。お前も、私も。永劫に人として生きるわけにはゆかぬのだからな》
随分と抽象的な話だ。それでも見えてくるものは十二分にある。にわかには理解しがたい話ではあるけれど。それに、受け入れ難い話でも。
「なら、どうするって?」
もう少し情報が欲しかった。
《やり直すのだ。絡みつく柵を捨てて、もう一度冷徹な目で。世界の綻びと、奴の間隙を突くために!》
その言葉と共に、身体の中から強大な魔力が溢れてくる。まるで意識……いや、魂が暴走しているかのように。
頭の中でその奔流に、記憶が流されていく。一つ一つ、浮かんでは消えていく泡のように。
「嫌だ! 僕はここで皆と一緒にずっといるんだ!」
思わず絶叫した。奔流は、止む事ない。それは体中に満ちていく。まるで、自分自身がメタモルフォーゼするような感覚。そんな高等魔術は使ったことがないんだけど、イメージが全身を侵食していった。自分が一羽の鳥になっていく。垂らしていたロープは、もう掴めない。
白鳥のはばたきが丘の上を掠めて、何処か遠くへ飛んでいくのを、まるで他人事のように遠くから見ていた……



いつの間にか人がいなくなる。この新宿ではそれも珍しいことではない。宵闇に音だけを残して、また一人、少年が何処へともなく消えた。



――歌声がする。いや、鳥の鳴き声だろうか。重い目蓋を開くと、そこには見渡す限り鬱蒼とした森が広がっていた。木陰から差し込む日の光を見るに朝の八時。しっかり8時間は寝たんだろう。
……ところで、ここは何処で、僕は、誰だ?
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the deamon in jintengchensi
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好事家
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自己紹介:
変なゲームを作るのが趣味の人です。
変な方向に広く浅い知識の持ち主だよ。
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